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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科63巻3号

2009年03月発行

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あとがき フリーアクセス

著者: 瀧川雅浩

ページ範囲:P.264 - P.264

文献概要

 あるジャーナルのチーフエディターから,インパクトファクターを上げたいのだが,何かいい案がないかというメールが廻ってきた.それに対して,ある編集委員から返事がやってきて,曰く『Impact factors of journals are becoming less and less important, and the emphasis you put on them(インパクトファクターをアップしたい,等々)seems perhaps outdated. The Hirsch index is now more interesting. My Hirsch factor is at least 34, indicating that at leat 34 articles in which I(co)authored have been cited 34 times or more.』初めて聞く用語なので,WikipediaでHirsch factor(h指数)を調べてみた.それによると,物理学者Jorge E. Hirsch(UCSD)が引用索引データベースWeb of ScienceのTimes Cited(被引用数)を元に考案した指標で,論文数と被引用数とに基づいて,科学者の科学的貢献度を示すものである.しかも,雑誌の種類やインパクトファクター,筆頭著者かどうかというauthorship に無関係である.h指数は,その研究者が公刊した論文のうち,被引用数がh以上であるものがh以上あることを満たすような数値である.たとえば,h指数が30である研究者は,被引用数30以上の論文が少なくとも30編あることを示す.実際の計算は,論文A(10),論文B(8),論文C(5),論文D(4),論文E(3)(カッコ内は被引用数)ならh指数=4,となる.したがって,この指標は,当該研究者の論文の量(論文数)と論文の質(被引用数)とを同時に1つの数値で表すことができるという利点を持つ.アメリカでは,h指数が10~12ならメジャーな大学のテニュアになれる,18ならfull professorshipがもらえ,45かそれ以上ならNational Academy of Sciencesのメンバーになれる,という.いろいろな問題点があるにせよ,h指数 はインパクトファクターに代わって用いられつつある.雑誌の内容を問わないなら,日本語雑誌でインパクトファクターのない我らが「臨床皮膚科」も堂々と名乗りをあげられるではないか! ここで問題,論文A(25),論文B(8),論文C(5),論文D(3),論文E(3)(カッコ内は被引用数)ならh指数はいくらになるでしょうか?

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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