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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科63巻5号

2009年04月発行

特集 最近のトピックス2009 Clinical Dermatology 2009

1. 最近話題の皮膚疾患

Biologicsによる薬疹

著者: 朝比奈昭彦1

所属機関: 1国立病院機構相模原病院皮膚科

ページ範囲:P.9 - P.13

文献概要

要約 抗TNF-α製剤は,効果の優れたbiologicsの1つで,関節リウマチや炎症性腸疾患,乾癬の治療に用いられる.ところが,これらの製剤が,理論とは逆に乾癬を誘発あるいは増悪させる場合があることもわかってきた.このような報告例は数年間で飛躍的に増え,決して稀ではない.製剤の使用後に一定のタイムラグを経て発症し,乾癬様の皮疹のほか,掌蹠膿疱症様に掌蹠に皮疹が出現したり,膿疱を呈するものも多い.原因は不明であるが,皮膚でのⅠ型インターフェロンの作用を亢進するためと考えられている.投薬を中止すれば皮疹が消失ないし改善する例がほとんどであるが,重症でなければ,原疾患に対する抗TNF-α療法の有効性を考慮して,中止せずに継続,あるいは別の抗TNF-α製剤に変更したうえで,外用療法などで様子を見ていて問題ない場合も少なくない.皮膚科医は,この逆説的な副作用に精通し,こうした事例に遭遇した際に,他科との連携のなかで適切な対応をとることが望まれる.

参考文献

1) 朝比奈昭彦:皮膚臨床49: 1207, 2007
2) 朝比奈昭彦:Derma126: 16, 2007
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13) Bhatia A, Kast RE: J Rheumatol34: 447, 2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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