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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科63巻5号

2009年04月発行

特集 最近のトピックス2009 Clinical Dermatology 2009

4. 皮膚疾患治療のポイント

難治性蕁麻疹とレセルピン治療

著者: 岡本祐之1 上津直子1

所属機関: 1関西医科大学皮膚科学教室

ページ範囲:P.78 - P.81

文献概要

要約 蕁麻疹の診断は臨床症状と経過から容易であり,多くの症例ではヒスタミンH1受容体拮抗薬が奏効する.しかし,原因・増悪因子が明らかではない症例では対症療法を余儀なくされ,さらにヒスタミンH1受容体拮抗薬が無効なこともある.日本皮膚科学会では,蕁麻疹の病型診断手順と特発性の蕁麻疹に対する治療手順を中心とした治療ガイドラインを発表している.そこで,慢性,難治性の蕁麻疹では,ヒスタミンH1受容体拮抗薬の増量や他の同系薬への変更を行い,補助薬剤としてH2受容体拮抗薬や漢方薬,抗不安薬などを投与し,無効例ではさらにステロイドを内服することが薦められている.レセルピンは古くは慢性蕁麻疹に有効であることが知られていたが,新しくヒスタミンH1受容体拮抗薬が開発・発売された頃から使用されなくなった.しかし,ステロイドの内服でも不十分な治療効果しか見られない難治例に奏効することがある.これまでの経験に基づいた治療から,EBMの観点に立った治療を積み重ね,今後,難治性蕁麻疹治療に欠くことのできない薬剤として広く使用され,その適応となる蕁麻疹の病型も明らかになることが期待される.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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