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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科63巻5号

2009年04月発行

文献概要

特集 最近のトピックス2009 Clinical Dermatology 2009 5. 皮膚科医のための臨床トピックス

ラップ療法をどう考える

著者: 安部正敏1 石川治1

所属機関: 1群馬大学大学院医学系研究科皮膚病態学講座

ページ範囲:P.142 - P.144

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要約 褥瘡治療現場を中心に普及している,いわゆるラップ療法について,皮膚科医としてどうとらえるべきかについて考察する.ラップ療法とは,食品用ポリエチレン薄膜を用いたmoist wound healingととらえることができる.創傷被覆材に比較し安価に施行できるが,その製造販売業者のほとんどは食品包装用以外の用途を禁止している.ラップ療法は過剰な滲出液が創面から排除される工夫がなされており,優れた治療法であるという見解もある反面,食品用ポリエチレン薄膜自体にも複数の種類があり,それらの特性の差異からくる臨床効果の検討などがなされていない点など,科学的根拠に乏しい側面も有する.皮膚科医は経済的理由のみで安易にラップ療法を選択するのではなく,創傷治癒理論およびラップ療法がもたらす功罪を十分熟知することが求められる.

参考文献

1) 安部正敏:創傷治癒プラクティス. 南江堂, p10, 2006
2) Takahashi J, et al: J Wound Care15: 449, 2006
3) 幸野 健, 田邉 昇:Visual Dermatology6: 1114, 2007
4) 鳥谷部俊一:これでわかった!褥創のラップ療法. 三輪書店, p4, 2007
5) 内閣府国民生活局消費者安全課ホームページ/(http://www.consumer.go.jp/kankeihourei/seizoubutsu/index.html)(2009.1. アクセス)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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