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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科63巻5号

2009年04月発行

特集 最近のトピックス2009 Clinical Dermatology 2009

5. 皮膚科医のための臨床トピックス

皮膚科手術の際の抗血小板薬の中止指針

著者: 松村由美1

所属機関: 1京都大学大学院医学研究科皮膚科学教室

ページ範囲:P.155 - P.157

文献概要

要約 脳梗塞や虚血性心疾患,あるいは深部静脈血栓症の予防や再発防止のために,アスピリンなどの抗血小板薬やワルファリンなどの抗凝固薬を服用している患者は多い.皮膚科手術の際にこれらの薬剤を中止するか否かについては,中止によるリスクを十分に検討したうえで行うべきである.アスピリンの中止に伴い,脳梗塞または一過性脳虚血発作,急性冠症候群の発症リスクは増加する.ワルファリンの中止に伴い,心原性脳梗塞,深部静脈血栓症のリスクは増加する.一方で,アスピリンやワルファリンの中止をせずに皮膚科手術を施行したとしても,アスピリン投与は出血リスクを増大せず,ワルファリン投与は出血リスクが増大するものの,出血そのものが重篤な転帰に至ることは少ない.以上を勘案すると,皮膚科手術の際には,抗血小板薬や抗凝固薬を中止する必要性は少ないと考える.

参考文献

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4) Akopov SE, et al: Cerebrovasc Dis19: 337, 2005
5) Kovich L, Otley CC: J Am Acad Dermatol48: 233, 2003
6) 小代正隆:Thrombosis and Circulation13: 317, 2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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