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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科63巻5号

2009年04月発行

Derm.2009

脱毛症は治らないのか?

著者: 齊藤典充1

所属機関: 1北里大学医学部皮膚科

ページ範囲:P.33 - P.33

文献概要

 近年,男性のみならず女性でも脱毛症に悩んでいる方が増えてきているようです.脱毛症と一言でいってもその中には,円形脱毛症,男性型脱毛,粃糠性脱毛,びまん性脱毛,瘢痕性脱毛などさまざまなタイプがあります.最近の医学は急速に進歩していますが,どうも脱毛症の治療法は進歩がない.脱毛症は治らないのでは?皆さんはそんな印象をもっていませんか?少し前のあるTV番組では,これから10年以内にすべての脱毛症は治療が可能になり,脱毛症はなくなると未来予想をしていましたが,本当でしょうか.

 前に挙げたさまざまな脱毛症のうち,患者数の多いものは男性型脱毛と円形脱毛症です.このうち男性型脱毛は,ジヒドロテストステロンにより毛髪が軟毛化することにより生じます.テストステロンをジヒドロテストステロンに変換する酵素を抑制する内服薬が本邦でも発売になったことにより,今の状態以上に毛髪が軟毛化することを食い止めることはできるようになったようですが,すでに失われてしまった毛髪を取り戻せるものではありません.次に円形脱毛症では,脱毛斑が単発のものや脱毛範囲が小さいものでは自然治癒もありえますが,脱毛を繰り返す症例や全頭ないし全身にわたって脱毛をきたす症例はなかなか治らないというのが皆さんの印象かと思います.その発症機序には免疫の異常が関与しているらしいということはわかってきましたが,詳細はまだ不明です.したがって,病態を根本から治す方法はなく,今のところ重症例は難治であるわけです.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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