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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科63巻5号

2009年04月発行

文献概要

Derm.2009

地方大学医局事情

著者: 清原隆宏1

所属機関: 1福井大学医学部感覚運動医学講座皮膚科学

ページ範囲:P.135 - P.135

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 慢性的な人手不足である.誰のせいなのだろう? 普段から学生を魅了して入局させることができなかった教授や准教授(私)のせいなのか,それとも….いろいろ考えてみるが,もし自分たちのことを棚に上げて責任転嫁するとしたら,やはり数年前に始まった前期臨床研修制度の影響だろう.卒後2年間は入局することがないため,はるか3年先のためにはとてもとても…と学生勧誘を中止してしまった.これが計算違いで,学生とのコミュニケーションも自然と徐々に少なくなり,当然ながら3年後には1人も入局しなかった.2年前にはどんな学生がいたかの記憶もないため,焦っても対応さえできない.これではまずいということで,一昨年くらいからポリクリ学生との懇親会などを再開し,最近やっと学生が親近感をもってくれるようになり,何かというと私の部屋を訪ねてくるようになった.西医体に行って来たと言っては,土産を持参して結果報告に来るというようなことも多い.彼らが医局を選択する数年後に期待して,しばらく勧誘を続けていくつもりである.

 マッチングで当大学に残るのは100名中30人前後である.それでも同クラスの地方大学の中ではかなり健闘しているとのことで,前病院長が何かの会で厚生労働省からノウハウを講演させられたほどである.たった30人を各科で取り合うのだから,皮膚科入局者がゼロでも仕方ない状況である.大都市の医局には何十人もの入局希望者があり,試験まで行われている.ある大都市の大学の先生は,「数年以内に美容で開業したいのばかりで,まともに皮膚科をやろうなんてのは少ないよ」なんて贅沢な悩みをこぼしていた.しかしながら,地方大学の現状は惨憺たるもので,どんなきっかけでも,多少出来が悪くても,とにかく入局して欲しいという状況である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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