icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科63巻6号

2009年05月発行

文献概要

症例報告

生検後に消褪傾向がみられたMerkel細胞癌

著者: 是川あゆ美1 金子高英1 池永五月1 中島康爾1 中野創1 澤村大輔1 今田吏津子2

所属機関: 1弘前大学医学部皮膚科 2こんた皮膚科

ページ範囲:P.409 - P.413

文献購入ページに移動
要約 84歳,女性.初診の3か月前より右頰部に腫瘤が出現した.前医皮膚科での皮膚生検でMerkel細胞癌と診断され,当科を紹介された.右頰部に直径21mmの表面暗赤色の皮内から皮下腫瘤を触知し,皮膚生検で真皮内~皮下組織に好塩基性細胞が充実性・索状に増殖し,cytokeratin 20とNSE染色陽性で,Merkel細胞癌と診断した.生検後35日目の手術時には,腫瘤は縮小しており,組織像ではリンパ濾胞様構造を伴うリンパ球浸潤がほとんどで,cytokeratin 20陽性の腫瘍細胞はわずかで,消褪傾向を示したと判断した.本邦では消褪傾向を示したMerkel細胞癌は自験例が25例目である.消褪機序は,腫瘍細胞のapoptosisやリンパ球による免疫学的攻撃などが考えられており,本症例のリンパ球浸潤は細胞性免疫の自然消褪への関与を示すと考えた.

参考文献

1) 伊藤 圭, 他: 臨皮 57: 737, 2003
2) Goepfert H, et al: Arch Otolaryngol Head Neck Surg 110: 707, 1984
3) Hitchcock CL: Ann Surg 207: 201, 1988
4) Gould VE, et al: Lab Invest 52: 334, 1985
5) 井上多恵, 他: 日皮会誌 110: 161, 2000
6) 榎本美生, 他: 皮の科 4: 558, 2005
7) 太田真由美, 他: 皮膚臨床 47: 877, 2005
8) 梅澤慶紀, 他: 皮病診療 17: 553, 1995
9) 佐藤守弘, 他: 皮膚臨床 39: 1449, 1997
10) 小田香織, 他: 日皮会誌 117: 675, 2007
11) 川上聡経, 他: 日皮会誌 117: 70, 2007
12) 羽金重喜: 日皮会誌 116: 1502, 2006
13) 津守伸一郎, 他: 西日皮膚 65: 311, 2003
14) 榎本美生, 他: 皮の科 4: 558, 2005
15) Huichen F, et al: Science 319: 1096, 2008
16) 小野友道, 鈴木啓之(編): Merkel細胞・Merkel―細胞癌この謎多き細胞たち, 金原出版, p125, 2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?