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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科63巻7号

2009年06月発行

症例報告

疣状黄色腫の1例―ヒト乳頭腫ウイルス感染の検討

著者: 山本晃三1 種瀬啓士1 原藤玲1 若林亜希子1 宮川俊一1

所属機関: 1川崎市立川崎病院皮膚科

ページ範囲:P.481 - P.483

文献概要

要約 61歳,男性.約3年前より右陰囊部の腫瘍があり,徐々に増大した.病理組織学的に表皮の過角化および乳頭状増殖,真皮乳頭層に泡沫細胞および形質細胞,組織球の浸潤を認めた.特殊染色で真皮乳頭層の泡沫細胞に一致してCD68陽性細胞がみられた.以上より疣状黄色腫(verruciform xanthoma)と診断した.

 本症では,ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)との関与が検討され,証明された報告例もあるが,自験例においてはHPVカプシド蛋白L-1に対する染色は陰性,HPV-PCRも陰性であった.慢性経過をとり,さまざまな病原体が付着する機会が多く,偶発的感染の可能性があっても,直接的な病因に関与することは否定的な報告が多く,自験例もそれを支持するものである.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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