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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科63巻7号

2009年06月発行

文献概要

治療

高圧乳化製法による新規ワセリン製剤DRxADの保湿能評価およびアトピー性皮膚炎患者に対する有効性ならびに安全性評価

著者: 菊地克子1 相場節也1 石崎千明2 沼野香世子3 田島麻衣子4 川島眞5

所属機関: 1東北大学大学院医学系研究科皮膚科学講座 2三軒茶屋病院 3有楽町皮膚科 4つばさクリニック 5東京女子医科大学皮膚科学教室

ページ範囲:P.513 - P.522

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要約 新規ワセリン製剤である保湿外用剤DRxADについて臨床試験を実施し,その機能を検証した.まずDRxAD,医薬品,医薬部外品の保湿外用剤5種類を健常人の前腕皮膚の5か所にそれぞれ塗布し,単回塗布した場合の保湿効果について角層水分量を指標として比較検討した.次に乾燥を主体とする軽微な症状を有するアトピー性皮膚炎患者36例を対象として,左右の前腕皮膚にDRxADあるいはワセリンを3週間塗布し,皮膚所見の観察,痒みの程度の問診,角層水分量および経表皮水分喪失量の測定,使用感に関するアンケートを行い,比較検討した.その結果,健常皮膚における保湿能評価試験で,DRxADは塗布直後から医薬品保湿外用剤に劣らない角層水分量の上昇と,塗布8時間後まで持続する高い角層水分量を示した.アトピー性皮膚炎患者を対象とした試験では,DRxADは塗布前と比較し,塗布期間を通して皮膚所見,掻痒,角層水分量において有意な改善を認めた.またワセリンとの比較では,特に角層水分量の上昇において有意な差を認め,その他使用感についても大きく改善されていることを示す結果を得た.安全性においてもワセリンに劣らない結果が得られ,DRxADはアトピー性皮膚炎患者の乾燥皮膚に対して有用であることが示唆された.

参考文献

1) 日本皮膚科学会, アトピー性皮膚炎治療ガイドライン改訂委員会: 日皮会誌 114: 135, 2004
2) Watanabe M, et al: Arch Dermatol 127: 1689, 1991
3) Kikuchi K, Tagami H: Br J Dermatol 158: 969, 2008
4) 川島 眞, 他: 日皮会誌 117: 969, 2007
5) 井上奈津彦, 上出良一: 臨皮 52: 108, 1998
6) 林 伸和: 皮膚臨床 44: 1245, 2002
7) Tabata N, et al: Dermatology 200: 308, 2000

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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