文献詳細
症例報告
文献概要
要約 40歳,男性.初診の2日前に出現した臍窩の疼痛を伴う腫瘤を認め,来院した.既往歴に腹部の手術歴,先天性形成異常はなかった.初診時,直径2cm大,表面はびらん状で周囲に発赤を伴う,ドーム状の弾性軟,圧痛を伴う腫瘤を認めたが,腫瘤からの排膿,排尿時痛,発熱は認めなかった.抗菌薬投与では改善をみせず,腹部CTで,腹腔と連続性のある囊胞様の腫瘍であったため,尿膜管遺残と診断した.摘出した腫瘍の病理標本は,尿膜管遺残に矛盾しない境界明瞭な結節状の線維化が認められた.尿膜管遺残は非常に稀な疾患だが,皮膚科医も念頭に置く必要があると考えられた.
参考文献
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