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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科63巻8号

2009年07月発行

文献概要

症例報告

線維肉腫組織像を伴った隆起性皮膚線維肉腫の1例

著者: 甲田とも1 市川尚子1 松井はるか1 河原由恵1 菅原信2

所属機関: 1けいゆう病院皮膚科 2菅原皮膚科クリニック

ページ範囲:P.589 - P.592

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要約 58歳,男性.5年前より右大腿腫瘍が存在し,半年前より急速に隆起してきた.5cm大の弾性硬結節上に易出血性で壊死組織を伴う8cm大の結節を認めた.病理組織所見では,元来存在した5cm大の結節は大部分で紡錘形細胞がstoriform patternに増殖し,CD34陽性であった.外方に突出した8cm大の結節は細胞密度が高く,異型性を有する紡錘形細胞が錯綜あるいはherring bone patternをとって増殖し,CD34陰性であった.線維肉腫組織像を伴った隆起性皮膚線維肉腫と診断した.リンパ節および遠隔転移は認めておらず,経過観察中である.本邦過去25年間の報告症例を比較検討したところ,隆起性皮膚線維肉腫の不十分切除などで本症が誘発されるのではなく,元来その性質を有しているため生じるのではないかと考えられた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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