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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科63巻8号

2009年07月発行

文献概要

症例報告

リンパ管型スポロトリコーシスの1例

著者: 永井美貴1 青山裕美1 神谷秀喜1 市来善郎1 小嶋三佳1 北島康雄1 松永研吾2 笹岡郁乎2

所属機関: 1岐阜大学大学院医学系研究科皮膚病態学 2木沢記念病院中央検査科

ページ範囲:P.602 - P.606

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要約 68歳,男性.初診の3か月前に古い木造の改築の際に左前腕に擦過傷を負った.傷は徐々に潰瘍化し,リンパ管の走行に一致して紅斑を伴った結節が多発した.病理組織所見:真皮深層に好中球,リンパ球を主体とする細胞浸潤があり,PAS染色陽性の円形の胞子がみられ,発芽像が混在していた.真菌学的所見:生検組織の一部を接種したサブロー培地では,黒色絨毛状の集落を呈し,マイコセル培地では,湿性で灰白色調絨毛状のコロニー形成がみられた.スライドカルチャーでは,細長く伸びる菌糸柄の先に無色で洋なし型の小分生子を確認した.以上より,スポロトリコーシスと診断した.ヨウ化カリウム(KI)0.5g/日を12週間内服し,使い捨てカイロによる温熱療法とヨウ素含有軟膏外用を併用したが,新生結節を生じたために,KI1.0g/日に増量した.その後,新生結節は減少した.イトラコナゾールのMICは,8μg/ml以上であった.

参考文献

1) 松田哲男, 松本忠彦:最新皮膚科学大系14巻 細菌・真菌性疾患, 中山書店, p267, 2003
2) Marimon R, et al: Antimicrob Agents Chemother 52: 732, 2008
3) 佐藤友隆, 他: 皮膚臨床 46: 2027, 2004
4) 小嶋三佳, 他: 日皮会誌 116: 1217, 2006
5) 寺本輝代, 他: 真菌誌 38: 96, 1997
6) 河野 茂, 他: Jpn J Chemother 54: 32, 2006
7) Gougerot H: Les Sporotrichoses, Alcan, Paris, p10, 1912
8) 永嶋哲二: 日皮会誌 75: 863, 1965

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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