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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科64巻1号

2010年01月発行

症例報告

胃癌を合併した抗p200類天疱瘡の1例

著者: 玉渕尚宏1 角田孝彦1 橋本隆2

所属機関: 1山形市立病院済生館皮膚科 2久留米大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.29 - P.32

文献概要

要約 94歳,女性.乾癬,疥癬の既往はなく,認知症と脳血管障害後の後遺症のため,特別養護老人ホームに入所中.1週間前から四肢に痒みと紅斑が出現し,小水疱も認めるようになったため,当科紹介された.両前腕・下腿を中心に搔破痕,びまん性紅斑,緊満性の小水疱が散在しているのを認めた.粘膜疹は認めなかった.病理組織像は表皮下水疱で,その周囲に好酸球を主体とした炎症細胞が浸潤していた.酵素抗体直接法では,基底膜にIgGの沈着を認め,真皮に肥満細胞と思われるIgE陽性細胞の浸潤が目立っていた.真皮抽出液を用いた免疫ブロット法では,患者血清のIgG抗体は200kDa蛋白に反応した.以上より,抗p200類天疱瘡と診断した.治療として,プレドニゾロン30mg/日内服にて皮疹は消退した.治療途中に進行胃癌が発見された.

参考文献

1) Chen KR, et al: Br J Dermatol 134: 340, 1996
2) Zillikens D, et al: J Invest Dermatol 106: 1333, 1996
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7) Dainichi T, et al: Proc Natl Acad Sci USA 106: 2800, 2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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