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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科64巻10号

2010年09月発行

症例報告

右下肢の同一部位に5年を隔てて再発した線状苔癬

著者: 井上桐子1 狩野葉子1 稲岡峰幸1 塩原哲夫1

所属機関: 1杏林大学附属医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.747 - P.750

文献概要

要約 7歳,女児.1歳時に右足部から臀部に線状に配列する帽針頭大の淡紅褐色の丘疹が出現し,臨床的にBlaschko lineに沿って生じた線状苔癬(lichen striatus:LS)と診断した.発疹は16か月で消退したが,5年後の7歳時に同一部位に再発した.臨床的には紫紅褐色の米粒大丘疹であり,病理組織学的にはLSに合致していた.小児のLSを文献検索したところ,同一施設内での10~17年の調査期間における再発率は2~6%,再発までの最長期間は4年で,同一もしくは同側部位に再発しやすい傾向がみられた.しかしたとえ同一部位でも,自験例のように再発時の発疹の性状が初発時とかなり異なっている場合には,同一施設を受診しなければ再発と認識することは難しい.こうした小児におけるLSの再発を確認する困難さを考え合わせると,過去の統計は実際の再発率を反映していない可能性がある.今後はLSを経験した際には同一Blaschko line上の過去の発疹の有無を聴取する必要がある.

参考文献

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13) Bolognia JR, et al: J Am Acad Dermatol31: 157, 1994

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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