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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科64巻10号

2010年09月発行

文献概要

症例報告

局在型多発性グロムス腫瘍の1例

著者: 岸田大1 中川浩一1 吉田康彦1 上原慎司1 吉田慶子2

所属機関: 1大阪府済生会富田林病院皮膚科 2浅香山病院皮膚科

ページ範囲:P.787 - P.790

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要約 30歳,女性.10歳頃に虐待を受けた腰部に,表面上は淡い青色を呈する皮内ないしは皮下の結節が集簇する腫瘍が発生した.腫瘍の出現は虐待を受けた直後からであった.自発痛はなかったが圧痛は認めた.すべての結節を一塊に摘出した.摘出標本の病理組織像では,拡張した血管腔とそれを取り囲む立方形の腫瘍細胞が観察され,免疫組織化学染色でα-SMAが陽性であった.以上の臨床像と病理組織像から,glomangiomaの像を呈した局在型多発性グロムス腫瘍と診断した.臨床型が局在型多発性で組織型がglomangiomaであった点が特異的であった.従来より,この組織像は汎発型多発性の病型に多くみられるとされてきたが,文献を渉猟すると,同様に臨床像と組織型が一致しない症例が散見され,これらの関連性についてはさらなる症例の集積が必要であると考えた.

参考文献

1) 財満浩之:最新皮膚科学体系, 13巻, 中山書店, p181, 2002
2) Enzinger FM & Weiss SW: Soft Tissue Tumors, Mosby, St Luis, p701, 1995
3) 牧万里子, 他:臨皮56: 854, 2002
4) 中井智絵, 他:日皮会誌118: 87, 2008
5) 額賀祐美, 他:皮膚臨床39: 968, 1997
6) Calonje E, Wilson-Jonese T: Lever's Histopathology of the Skin (8 ed), Lippincott, Philaderphia, p925, 1997
7) 原 裕太, 他:形成外科51: 707, 2008
8) 藤井正敏, 他:整形外科38: 621, 1987

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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