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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科64巻11号

2010年10月発行

文献概要

症例報告

潰瘍化した梅毒疹よりHIV感染症合併の診断に至った1例

著者: 梶原一亨1 木藤正人1 市原麻子1 丸尾圭志2 尹浩信2

所属機関: 1熊本市立熊本市民病院皮膚科 2熊本大学大学院生命科学研究部皮膚病態治療再建学

ページ範囲:P.893 - P.895

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要約 47歳,男性.2006年8月,全身倦怠感および発熱があり,9月より顔面および頸部に皮膚潰瘍を認めていた.11月末に当科を受診し,右頰,後頸部,右肩甲骨に膿苔が付着した潰瘍を認めた.梅毒血清反応陽性であり,皮膚生検にて類上皮細胞,巨細胞,形質細胞を伴う肉芽組織を認め,抗梅毒トレポネーマ抗体染色ではらせん状のトレポネーマを認めた.また,舌苔の鏡検にてカンジダを認めたため,悪性梅毒の可能性を考慮し,HIV感染症の有無を検討したところ,HIV抗体(PA法)およびHIV-1抗体(Western blot法)にて陽性であり,HIV感染症を合併した梅毒と診断した.非典型的な皮疹や臨床経過を辿った梅毒症例では,HIV感染症合併も視野に入れて日常診療にあたる必要がある.

参考文献

1) Don PC, et al:Int J Dermatol 34:403, 1995
2) 上野賢一,大塚藤男:皮膚科学,8版,金芳堂,p816, 2002
3) 横内麻里子,他:J Visual Dermatol 5:260, 2006
4) 石井則久:血液フロンティア 14:417, 2004
5) 海老原香子,他:日皮会誌 116:443, 2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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