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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科64巻12号

2010年11月発行

今月の症例

ベスト型浸潤を呈した鎧状癌の1例

著者: 水野冴岐1 菊池荘太1 尾上智彦1 堀田健人1 佐々木一1 本田まりこ1 中川秀己2

所属機関: 1東京慈恵会医科大学皮膚科青戸病院皮膚科 2東京慈恵会医科大学皮膚科学講座

ページ範囲:P.908 - P.911

文献概要

要約 73歳,女性.1年前より胸部の皮疹,両上肢の浮腫を自覚していたが放置していた.皮疹は徐々に拡大し,悪臭,疼痛に加え,呼吸苦を伴うようになり当院救急外来受診し,乳癌を疑われ外科へ入院した.皮膚科初診時,前頸部から胸腹部にベスト型の板状硬結を伴う紅色局面を認めた.局面は直径30mm大までの紅色結節が集簇し,表面はびらん,潰瘍化し,膿汁が付着していた.病変は臍上5cmほどの位置で明瞭かつ直線状に健常部と境界されていた.顔面に紅斑,両上肢には紅斑および著明な浮腫を認めた.病理組織は腺癌の像を呈し,乳癌特異的マーカーの上昇から乳癌の皮膚転移(鎧状癌)と診断した.進行癌のターミナルステージであると考え,積極的治療は行われず,入院後7日目に呼吸不全のため急死した.自験例は,臨床所見より,逆行性リンパ行性皮膚転移様式が示唆された稀な症例であったので報告し,その成因について考察した.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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