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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科64巻12号

2010年11月発行

今月の症例

臍炎を契機に発見された尿膜管遺残膿瘍の1例

著者: 加茂真理子1 白樫祐介1 藤本篤嗣1 鈴木邦士2 谷口正美2 杉浦丹1

所属機関: 1静岡市立清水病院皮膚科 2静岡市立清水病院外科

ページ範囲:P.912 - P.915

文献概要

要約 24歳,男性.臍部の痛みを主訴に来院した.初診時,臍部に軽度の発赤と淡黄色膿性浸出液の排出があり,腹部超音波では皮下膿瘍を伴う臍炎ないし尿膜管遺残膿瘍を疑った.洗浄ドレナージ,抗生剤の点滴投与では症状は改善せず,臍部に著明な自発痛を伴う腫瘤となった.緊急の腹部CTで尿膜管遺残とそれに連続する膿瘍形成と診断し,尿膜管切除術を行った.手術時,臍から連続する膿瘍と膀胱側に伸びる3本の索状物を認め,うち2本を膿瘍とともに摘出した.病理組織像では,皮下に膿瘍形成を認め,索状物は遺残した尿膜管と臍動脈であった.尿膜管遺残には再発性の膿瘍や膿瘍破裂,尿膜管癌の発生の危険性があり,発見したら,早期の摘出が望ましい.

参考文献

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11) 吉益 隆,他:皮膚臨床 51:4, 2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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