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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科64巻12号

2010年11月発行

症例報告

石灰硫黄合剤による化学熱傷の1例

著者: 福田俊平1 桃崎直也1 小野文武1 名嘉眞武国1 安元慎一郎1 橋本隆1

所属機関: 1久留米大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.921 - P.925

文献概要

要約 49歳,男性.自宅の柿の木に石灰硫黄合剤を主成分とする農薬を噴霧していたところ,噴霧器から溶液が漏れ,四肢に付着した.翌日より発熱や頭痛を認め当科受診した.四肢に浮腫性紅斑と壊死組織の付着した潰瘍を生じており,臨床検査所見では白血球の上昇と肝機能障害を認めた.入院後,発熱や頭痛は軽快し,白血球数の正常化や肝機能障害の改善もみられたが,潰瘍部位には外科的デブリードマンを施行した.壊死組織の除去後は,肉芽新生がみられ徐々に上皮化し,受傷後3か月で略治した.本症例は受傷面積が広範ではないにもかかわらず,受傷深度が深く,一過性に全身症状を伴った.石灰硫黄合剤は長時間付着した状態により,深達性潰瘍を生じることがあり,使用者への受傷早期の洗浄指導などの啓発も重要と思われた.

参考文献

1) 堀内信之:皮膚病診療 25:1091, 2003
2) Yamamoto Y, et al:J Environ Dermatol 3:170, 1996
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5) 角田孝彦,他:山形済生館医誌 25:105, 2000
6) 藤盛成裕,他:熱傷 31:147, 2005
7) Ishikawa H, et al:J Environ Dermatol 12:101, 2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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