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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科64巻12号

2010年11月発行

文献概要

症例報告

ヘパリンカルシウム皮下注射部に浸潤性紅斑局面を生じた1例

著者: 満真理子1 藤本徳毅1 四方寛子2 田中俊宏1

所属機関: 1滋賀医科大学皮膚科学教室 2滋賀医科大学母子・女性科

ページ範囲:P.927 - P.930

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要約 26歳,妊婦.抗リン脂質抗体症候群を疑い,低用量アスピリンの内服とヘパリンカルシウムの皮下注射による抗血栓療法を開始したところ,1か月後に注射部に掻痒を伴う浸潤性紅斑局面が生じた.病理組織所見は真皮全層に著明なリンパ球,好酸球の浸潤を認め,血栓,壊死は認めなかった.問診上遅延性の反応であったため,ヘパリンカルシウムに対する遅延型アレルギーと考えた.ヘパリンカルシウムをダナパロイドナトリウムに変更したところ,皮疹は改善しその後は問題なく出産に至った.臨床症状,組織所見,検査所見よりヘパリン皮下注射による浸潤性紅斑局面と考えた.ヘパリンの皮下注射による浸潤性紅斑局面の報告例は海外では多数認められるが,本邦では非常に稀である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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