臨床皮膚科64巻12号

2010年11月発行

症例報告

エクリン汗孔癌の1例

著者： 田村梨沙¹ 齋藤京¹

所属機関： ¹さいたま市立病院皮膚科

ページ範囲：P.957 - P.960

文献概要

要約　65歳，女性．5年前から右大腿に疣状結節を認め，2年前，一部が急速に隆起した．初診時，易出血性の広茎性紅色結節を伴う2.5×3.5cmの暗赤褐色疣状局面を認めた．病理組織像では腫瘍は左右非対称性に増生し，管腔構造を形成する大型の異型細胞が表皮と連続性に増殖し，また，異型性の少ない表皮内の病巣を一部に認めた．腫瘍全体の構築が非対称性で細胞異型があり，複数箇所で真皮への浸潤像を認め，エクリン汗孔癌と診断した．エクリン汗孔腫から二次的に発生したと考えた．エクリン汗孔腫はエクリン汗孔癌の発生母地となる可能性もあり切除が望ましい．

参考文献

1) 清原隆宏，他：最新皮膚科学大系，第12巻，中山書店，p177, 2002

2) Abenoza P, Ackerman AB:Noeplasms with eccrine differentiation, Lea ＆ Febiger, Philadelphia, p415, 1990

3) 伊東慶悟，他：日皮会誌 119:173, 2009

4) 木下朋子，他：皮膚病診療 30:1011, 2008

5) 塩原順子，他：臨皮 60:327, 2006