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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科64巻12号

2010年11月発行

文献概要

症例報告

関節リウマチに合併した顕微鏡的多発血管炎の1例

著者: 安藤実緒1 鳥居秀嗣1 吉本宏2 二村慎哉3

所属機関: 1社会保険中央総合病院皮膚科 2社会保険中央総合病院腎臓内科 3社会保険中央総合病院呼吸器内科

ページ範囲:P.974 - P.978

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要約 69歳,女性.初診の1か月前より両下腿に紫斑が多発し増数した.既往歴に間質性肺炎,関節リウマチがあった.下腿の皮膚生検にて真皮上層に免疫複合体の沈着を伴わない壊死性血管炎を認め,MPO-ANCAが著明高値であった.顕微鏡的多発血管炎と診断し,従来内服していたプレドニゾロン(PSL)を50mg/日に増量した.その後,尿蛋白が出現したためブシラミンによる腎障害を疑い内服を中止した.しかし,臨床症状の増悪は認められなかったものの,MPO-ANCAが再上昇した.血管炎による臓器障害を懸念してステロイドパルスとエンドキサン内服の併用療法を行ったところ,MPO-ANCAは低下し,新たな臓器症状の出現もみられなかった.ANCA陽性の関節リウマチ患者は稀ではなく,一部はANCA関連血管炎を合併する.腎不全に至るケースもあるため,関節リウマチ患者が血管炎の症状を呈したときは,MPAを想定すべきであると考えられた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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