臨床皮膚科64巻12号

2010年11月発行

症例報告

両臀部に出現した虚血性筋膜炎の1例

著者： 山本真有子¹ 中島英貴¹ 池田光徳¹ 佐野栄紀¹

所属機関： ¹高知大学医学部皮膚科学講座

ページ範囲：P.979 - P.981

文献概要

要約　87歳，女性．腰部脊柱管狭窄症のため長期間車椅子生活をしていた．両側臀部に皮下腫瘤が出現した．摘出標本の病理組織像では，真皮深層から皮下脂肪織にかけてフィブリノイド壊死像と，それを取り囲むように小血管の増生と粘液腫状の間質を伴う紡錘形ないし星芒状の細胞の増殖を認め，虚血性筋膜炎と診断した．車椅子生活により臀部が繰り返し虚血に陥ることで本症を発症したと考えた．

参考文献

1) Montgomery EA:Am J Surg Pathol 16:708, 1992

2) Rosenberg AE:Arch Pathol Lab Med 132:579, 2008

3) Liegl B, et al:Am J Surg Pathol 32:1546, 2008

4) Fukunaga M:APMIS 109:631, 2001