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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科64巻13号

2010年12月発行

文献概要

今月の症例

アルコール多飲者に生じた良性対称性脂肪腫症の1例

著者: 西本和代1 大内結1 深澤奈都子1 落合博子2 佐藤友隆1

所属機関: 1国立病院機構東京医療センター皮膚科 2国立病院機構東京医療センター形成外科

ページ範囲:P.1002 - P.1005

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要約 65歳,男性.長年のアルコール多飲歴があり,重度の肝障害があった.20年ほど前より頸部・胸部の皮下腫瘤を自覚し,徐々に増大した.初診時,頸部・鎖骨部周囲と両側上腕に左右対称性に境界不明瞭な自覚症状のない軟らかい皮下腫瘤を多数認めた.MRIで,頸部全周・上背部にT1強調,T2強調画像ともに高信号の領域を認め,特徴的な分布で脂肪腫が多発していることから,良性対称性脂肪腫症と診断した.形成外科と合同で,全身麻酔下に頸部・鎖骨部周囲の腫瘤を切除した.腫瘤は周囲組織と癒着し被膜は明らかではなかった.病理組織学的には成熟脂肪細胞の増生を認め,悪性所見はなかった.本疾患の90%ほどの患者にアルコール依存症の既往があることから,脂肪蓄積とアルコール摂取との関連が強く示唆されている.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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