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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科64巻13号

2010年12月発行

症例報告

抗RNA polymerase I/III/II抗体が検出された全身性強皮症の1例

著者: 泉祐子1 簗場広一1 延山嘉眞1 中川秀己1 坪井伸夫2 小島淳3

所属機関: 1東京慈恵会医科大学皮膚科学講座 2東京慈恵会医科大学腎臓高血圧内科 3東京慈恵会医科大学呼吸器内科

ページ範囲:P.1025 - P.1029

文献概要

要約 67歳,女性.2年前に間質性肺炎を指摘された.同時期より手指の腫脹と前腕の色素脱失を自覚したが放置していた.2009年3月,呼吸苦を主訴に来院し,心不全,高血圧,急性腎不全で入院した.手指から急速に進行する全身性の皮膚硬化と広範な色素異常,爪上皮出血点を認めた.また,前腕皮膚に真皮全層における膠原線維の膨化増生がみられ,患者血清を用いた免疫沈降法で抗RNA polymerase I/III/II抗体が検出されたことから全身性強皮症と診断した.腎障害の急速な進行とともに,急激な皮膚硬化と色素沈着を呈し,初診より4か月後,腎クリーゼ,間質性肺炎,および,肺高血圧の増悪により永眠した.抗RNA polymerase I/III/II抗体が検出される全身性強皮症は,腎クリーゼや心筋障害をきたしやすいが,発症早期に治療ができれば,予後は良好とされている.早期に抗体測定を行い,診断することが重要であると考えた.

参考文献

1) Kuwana M, et al:Arthritis Rheum 37:902, 1994
2) Satoh M, et al:J Clin Invest 94:1981, 1994
3) Kuwana M, et al:Artheritis Rheum 37:75, 1994
4) Kuwana M, et al:J Clin Invest 91:1399, 1993
5) Steen VD, et al:Ann Intern Med 113:352, 1990
6) Ortonne JP, et al:Clin Exp Derm 5:13, 1980

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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