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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科64巻13号

2010年12月発行

症例報告

臀部に生じたMycobacterium fortuitumによる皮下膿瘍の1例

著者: 白樫祐介1 吉田哲也1 藤本篤嗣1 杉浦丹1 池ヶ谷佳寿子2

所属機関: 1静岡市立清水病院皮膚科 2静岡市立清水病院細菌検査室

ページ範囲:P.1065 - P.1068

文献概要

要約 48歳,男性.初診の2週間前から左臀部に強い圧痛を伴う皮下硬結を生じ,切開排膿して得た検体からMycobacterium fortuitumが培養された.同菌はすべての抗結核薬に耐性を示し,ニューキノロン系薬に高い感受性を有していた.硬結を外科的に切除し,術後,塩酸ミノサイクリン200mg/日を4週間内服し軽快した.Mycobacterium fortuitumは弱毒菌であり皮膚細菌感染症の起炎菌として稀ではあるが,強い炎症症状を伴う例や通常の抗菌薬で改善しない例では本症を念頭に置く必要がある.抗結核薬を含む抗菌薬に他剤耐性を示すことが多く,症例ごとに薬剤感受性試験を施行し,感受性を有する抗菌薬の投与と外科的手術との併用が効果的であると考えた.

参考文献

1) 石井則久:皮膚抗酸菌症,メジカルセンス,p12, 1998
2) 田中洋輔,他:医学検査 52:1441, 2003
3) 小笠原里香,他:皮膚抗酸菌症,メジカルセンス,p34, 1998
4) 川合さなえ,他:皮膚臨床 49:479, 2007
5) 川口敦子,他:皮膚臨床 49:123, 2007
6) 山北高志,他:皮膚臨床 46:1907, 2004
7) 千葉光雄,他:小児臨 53:2009, 2000
8) 田中栄作:日胸臨 63:183, 2004
9) 宇賀神和久,他:臨と微生物 28:437, 2001

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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