icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科64巻13号

2010年12月発行

症例報告

タカサゴキララマダニ幼虫の多数刺咬例

著者: 菊池荘太12 菊池了子2 沖野哲也3 中川秀己1

所属機関: 1東京慈恵会医科大学皮膚科学講座 2菊池クリニック 3川崎医科大学微生物学教室

ページ範囲:P.1069 - P.1072

文献概要

要約 81歳,男性.岡山県美作市在住.2009年6月,自宅の松ノ木を伐採後,四肢,体幹にかゆみを自覚した.四肢,体幹,鼠径部を合わせ計85か所の米粒大から大豆大の紅色丘疹と多数の浮腫性紅斑,膿疱を認めた.一部に黒色点が付着しているように見えた.拡大鏡で観察すると,黒色点に見えたものは3対6脚を有する虫体であり,マダニ刺咬症と診断した.咬着部の虫体をピンセットを用いて摘除し,塩酸ミノサイクリン100mg/日を9日間内服した.触肢や背甲板の形態より虫体はタカサゴキララマダニの幼虫と同定した.タカサゴキララマダニ寄生患者は九州地方で多く発生しており,近畿以西の地方では71.3%と多い.タカサゴキララマダニによる刺症は幼虫による多発刺症が多いが,タカサゴキララマダニ幼虫が小型で運動能力に乏しく,成虫に比べ葉に集団で待機するという習性のためと考えられる.

参考文献

1) 橋本喜夫:最新皮膚科学体系16巻(玉置邦彦編),p74, 2003
2) 沖野哲也,他:川崎医会誌 33:321, 2007
3) 矢野泰弘,他:日ダニ学会誌 7:145, 1998
4) 藤田博己,他:日ダニ学会誌 8:9, 1999
5) 石田勝英,他:皮膚の科学 3:55, 2004
6) 鹿野由起子,他:皮膚病診療 19:628, 1997
7) 加藤優佳,他:臨皮 61:88, 2006
8) 藤原邦彦,他:臨皮 33:435, 1979
9) 藤広満智子,他:日皮会誌 97:173, 1987
10) 小原修一,他:皮膚臨床 38:694, 1996
11) 玉置 哲,他:皮膚 41:502, 1999
12) 山本菜穂子,他:皮膚臨床 42:701, 2000
13) Nalamura-Uchiyama F, et al:J Dermatol 27:774, 2000
14) 和田康夫,他:大原年報 43:23, 2000
15) 前田俊一,他:西日皮膚 64:397, 2002
16) 小出まさよ,他:皮膚病診療 25:887, 2003
17) 夏秋 優:Visual Dermatol 4:580, 2005
18) 川村哲也,他:臨皮 62:449, 2008
19) 中井智絵,他:皮膚病診療 31:933, 2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら