文献詳細
症例報告
文献概要
要約 47歳,男性.約10年前より気づいた左側頭部の約5cm大の皮下腫瘤を主訴に受診した.腫瘤はMRI上,T1,T2ともに強調像を示し側頭筋下から頭蓋内に及んでいた.生検時には腫瘍内部より毛髪の排出を認め,病理組織所見では悪性所見はなく,線維化した肉芽組織を認めた.臨床経過とあわせて皮様囊腫と考え全摘出術を施行した.腫瘤は側頭筋下に存在し,側頭骨と頰骨の一部を融解し頭蓋内に及び,硬膜に接する形で存在していた.硬膜との癒着は軽度で容易に剝離可能であったため,硬膜は温存できた.頭蓋骨が欠損した硬膜露出部分のみ腸骨移植を行った.全摘した腫瘤の病理組織学的所見では,化膿性炎症を伴う肉芽組織が中心で悪性細胞は認めず,皮様囊腫と診断した.
参考文献
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