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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科64巻3号

2010年03月発行

症例報告

囊腫壁のリポフスチンにより,黒色調を呈した外陰部アポクリン囊胞腺腫

著者: 西山有希子1 林伸和1 石黒直子1 川島眞1

所属機関: 1東京女子医科大学皮膚科学教室

ページ範囲:P.244 - P.246

文献概要

要約 59歳,女性.婦人科検診で外陰部の黒色結節を指摘され,当科を受診した.左小陰唇から腟の移行部に径2mm大の黒色結節を2個認めた.母斑細胞母斑,悪性黒色腫などを疑い,一塊として切除した.病理組織学的所見では,真皮内に数層までの円柱上皮からなる壁を有する2個の囊腫を認めた.壁細胞の一部には断頭分泌の像がみられ,CEAおよびEMA陽性,S100陰性で,HE染色で茶褐色の顆粒を有していた.この顆粒はフォンタナ・マッソン染色では黒染し,メラニンも疑われたが,無染色標本を蛍光顕微鏡で観察すると淡く黄橙色の蛍光を発したことから,リポフスチンと同定した.無染色標本の黄橙色の蛍光はリポフスチンに特徴的であり,茶褐色の顆粒物質の同定に有用であった.

参考文献

1) 玉置邦彦(編): 最新皮膚科学大系12巻, 中山書店, p202, 2002
2) Mehregan AH: Arch Dermatol 90: 274, 1964
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7) 熊切正信, 他: 皮膚臨床 27: 417, 1985
8) 新井春枝, 他: 日皮会誌 102: 1263, 1992
9) 篠田 宏: 染色法のすべて, 医歯薬出版, p50, 1988

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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