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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科64巻3号

2010年03月発行

症例報告

末梢血行再建術によって切断を免れた糖尿病性足趾壊疽の1例

著者: 趙玲愛1 瀧玲子1 谷岡未樹1 是枝哲1 田崎淳一2 木村剛2 宇谷厚志1 宮地良樹1

所属機関: 1京都大学医学部附属病院皮膚科 2京都大学医学部附属病院循環器内科

ページ範囲:P.255 - P.258

文献概要

要約 65歳,男性.30年来の糖尿病で,インスリン治療抵抗性であった.初診の約半年前に右足趾に潰瘍が出現した.保存的治療に反応せず,急速に右足背の発赤腫脹と発熱が出現したため,当科受診.糖尿病性足趾潰瘍から感染を生じた蜂窩織炎と診断した.下肢動脈CT像で両側下肢動脈に高度の石灰化と狭窄性病変を多数認めた.ABPI(ankle brachial pressure index)は正常であったが,患側足背のSPP(skin perfusion pressure)は低値であった.SPPが低値であったことから,局所療法による創傷治癒は困難であり,膝での切断が必要であると考えた.しかし,下肢の血流改善による創傷治癒促進を期待し,下肢血行再建術を施行した.術後,患側のSPP値は著明に改善し,動脈CTでも血流改善を確認できた.血行再建術後,色調不良であった患側足趾のみの切断を行い,術後経過は良好である.糖尿病性足趾壊疽に対して血行再建術を行うことは切断範囲縮小のために有益である.手術前後のSPPを測定することは血流評価の簡便なモニタリング法として有用であると考えられた.

参考文献

1) Castronuovo JJ Jr, et al: J Vasc Surg 26: 629, 1997
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6) 重松邦弘, 他: 医のあゆみ 211: 843, 2004
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8) 菅野範英, 他: 日外会誌 108: 176, 2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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