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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科64巻4号

2010年04月発行

文献概要

症例報告

超早産児に生じた腸性肢端皮膚炎の1例

著者: 中村吏江1 鼻岡佳子1 森本謙一1 辻徹郎2

所属機関: 1尾道総合病院皮膚科 2尾道総合病院小児科

ページ範囲:P.287 - P.290

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要約 生後5か月,女児.妊娠(在胎)26週1日,730gで出生した超早産児であった.経口のみの栄養摂取が困難であり,出生後,中心静脈栄養を開始した.生後3か月で中心静脈栄養を中止し,母乳栄養のみとした.生後5か月より口囲を中心に紅色落屑性丘疹が出現した.外用治療に対する反応は悪く,難治であった.腸性肢端皮膚炎を疑い,血中亜鉛濃度を測定したところ,13μg/dlと低値であった.亜鉛の経口補充療法を行ったところ,約1週間で著明な改善がみられた.発症要因として,授乳期後半の母乳亜鉛濃度の生理的低下と,超早産児であり体内亜鉛含有量が少なかったこと,成長に伴う亜鉛の需要増大が挙げられた.

参考文献

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9) 吉村和弘, 他: 皮病診療 30: 47, 2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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