icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科64巻4号

2010年04月発行

文献概要

症例報告

特発性後天性全身性無汗症の1例

著者: 梅原康次1 光戸勇1 宮地裕文2

所属機関: 1福井県立病院皮膚科 2福井県立病院神経内科

ページ範囲:P.303 - P.306

文献購入ページに移動
要約 35歳,男性.4月より屋外作業中のうつ熱が出現した.7月以降,ほぼ全身の無汗に気づき,作業中の体温は40℃に達するようになった.血液検査,神経学的検査にて異常はなかった.ヨードデンプン反応による温熱発汗試験で全身性の無汗を確認した.病理組織学的には,汗腺分泌部へのリンパ球浸潤を認めるも,汗腺組織の変性・破壊像は欠いていた.特発性後天性全身性無汗症と診断し,ステロイドパルス療法(メチルプレドニゾロン1,000mg/日×3日間)を2クール施行後,明らかな発汗を認めた.汗腺組織が障害される特発性後天性全身性無汗症の報告は少なく,病態も不明だが,何らかの免疫学的異常が関与していると推察された.治療法は確立していないが,ステロイド全身投与は有効であった.

参考文献

1) 中里良彦, 他: 臨床神経 34: 12, 1994
2) 岩瀬 敏: 日本醫事新報 4136: 1, 2003
3) 加藤弓子, 他: 皮病診療 24: 751, 2002
4) Wang Z, et al: Neurology 68: 1917, 2007
5) 池滝勝史, 他: 臨皮 53(5増): 34, 1999

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?