文献詳細
症例報告
文献概要
要約 35歳,男性.4月より屋外作業中のうつ熱が出現した.7月以降,ほぼ全身の無汗に気づき,作業中の体温は40℃に達するようになった.血液検査,神経学的検査にて異常はなかった.ヨードデンプン反応による温熱発汗試験で全身性の無汗を確認した.病理組織学的には,汗腺分泌部へのリンパ球浸潤を認めるも,汗腺組織の変性・破壊像は欠いていた.特発性後天性全身性無汗症と診断し,ステロイドパルス療法(メチルプレドニゾロン1,000mg/日×3日間)を2クール施行後,明らかな発汗を認めた.汗腺組織が障害される特発性後天性全身性無汗症の報告は少なく,病態も不明だが,何らかの免疫学的異常が関与していると推察された.治療法は確立していないが,ステロイド全身投与は有効であった.
参考文献
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