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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科64巻4号

2010年04月発行

文献概要

症例報告

前胸部に生じたancient schwannomaの1例

著者: 福田博美1 竹中祐子1 萩原宏子1 若林奈津子1 林伸和1 川島眞1

所属機関: 1東京女子医科大学皮膚科学教室

ページ範囲:P.311 - P.314

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要約 67歳,男性.3年前より左前胸部に自覚症状を伴わない皮下結節が出現し,徐々に増大した.初診時,5.5×3.2×高さ1.0cmのドーム状に隆起した皮下結節を認め,初診から6か月後には6.0×4.5cm×高さ2.0cmと増大がみられた.病理組織学的には,脂肪織に被膜に覆われた腫瘍塊があり,腫瘍細胞は紡錘形で楕円形の核を有し,索状,渦巻状に増殖していた.腫瘍細胞はS100蛋白とNSEで陽性を示した.一部に核異型を認めるが,核分裂像はなかった.また,管腔様構造,血栓像,血管壁の硝子化,出血像,ヘモジデリンの沈着を認めた.以上より,ancient schwannomaと診断した.Schwannomaは本来良性の腫瘍であるが,管腔の拡張や囊胞変性をきっかけに急速に増大する場合もあるので,早期切除が望まれる.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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