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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科64巻4号

2010年04月発行

文献概要

症例報告

再生不良性貧血による代償性造血がFDG-PETにより骨転移と見誤られた悪性黒色腫の1例

著者: 田嶋佐妃1 今井慎1 加藤佐代子1 鵜飼恭子1 小森由美1 益田浩司1 竹中秀也1 岸本三郎1 奥山智緒2

所属機関: 1京都府立医科大学大学院医学研究科皮膚科学 2京都府立医科大学大学院医学研究科放射線診断治療学

ページ範囲:P.328 - P.332

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要約 65歳,女性.再生不良性貧血に対して2004年からメテロノン内服治療中.2004年3月に右足内側の悪性黒色腫を切除し,stage IB(pT2a,N0,M0)と診断された.2007年9月に右鼠径リンパ節転移を認めた.当科でFDG-PETを施行し,左大腿骨,右腸骨,第2腰椎に異常集積を認め,骨転移を疑われた.しかし,悪性黒色腫の転移様式にしては肺や肝臓などへの血行性転移がみられないことから再生不良性貧血の影響を考え,精査を進めた.造血部位に特異的に集積する111Indium chlorideシンチグラフィを施行したところ,FDG-PETの異常集積部位と同じ部位に集積を認め,FDG-PETの異常集積は再生不良性貧血での代償性造血機能賦活によるものと考えた.本症例のように既往歴に血液疾患や骨髄炎などがある場合は,FDG-PETで骨に異常集積することがあり,骨転移の診断に注意を要すると考えた.

参考文献

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2) 深川修司: 皮膚臨床 48: 1483, 2006
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4) 中尾眞二: 治療 89: 2432, 2007
5) 飯塚雅美, 他: 映像情報Medical 34: 992, 2002
6) 馬淵順久, 他: 近畿大医誌 12: 643, 1987
7) 井野晶夫, 他: 臨床血液 26: 1439, 1985

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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