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症例報告
複発性帯状疱疹の1例
著者: 平井伸幸1 田村政昭1
所属機関: 1伊勢崎市民病院皮膚科
ページ範囲:P.333 - P.336
文献購入ページに移動要約 81歳,男性.肺転移を伴う食道癌および糖尿病の既往がある.3日前より左胸部から左上背部,および右腹部から右腰部にかけての発疹が出現した.初診時,紅暈を伴う小水疱が多発,集簇し,Tzanck testにて巨細胞を認め,両側性非対称性の複発性帯状疱疹と診断した.入院のうえ,アシクロビルの点滴にて加療し,帯状疱疹は軽快した.隣接しない2か所の神経領域に出現した帯状疱疹は複発性帯状疱疹,3か所以上に出現した帯状疱疹は多発性帯状疱疹と呼ばれ,比較的稀である.複発性および多発性帯状疱疹の過去25年間の本邦報告例を検討したところ,基礎疾患保有率が49.4%と通常型の帯状疱疹に比べて高く,40歳以上では58.1%とさらに高率であった.また,複発性の基礎疾患保有率は通常型と変わらないとする報告が多いが,今回の検討では複発性のみの集計でも45.9%と高率であり,悪性腫瘍などの基礎疾患の検索を考慮する必要があると考えた.
参考文献
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