icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科64巻4号

2010年04月発行

文献概要

症例報告

顔面神経麻痺を伴った多菌型Hansen病の1例

著者: 松本悠子1 安岡英美1 加茂真理子1 大内健嗣1 石河晃1 石井則久2 天谷雅行1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部皮膚科学教室 2国立感染症研究所ハンセン病研究センター

ページ範囲:P.337 - P.341

文献購入ページに移動
要約 29歳,男性.インドネシア人.初診3か月前から左頰部に紅色結節が出現した.初診時,左顔面に弾性硬,境界明瞭な隆起性紅色結節が連なり,結節周囲の知覚鈍麻を認めた.病理組織学的には真皮に組織球性肉芽腫形成,多数の抗酸菌を認めた.スメア検査では菌指数4+~5+で,多菌型Hansen病と診断した.治療直前に急速な皮疹の悪化と顔面神経麻痺が出現した.1型らい反応と考え,WHOの多剤併用療法(ジアフェニルスルホン,クロファジミン,リファンピシン)に加えプレドニゾロン1mg/kg/日内服を併用し,皮疹および顔面神経麻痺は改善した.Hansen病では,らい反応による神経障害が永久的な後遺症を残し,偏見・差別につながることがあるため速やかで適切な対応が必要となる.神経症状を注意深く観察し,らい反応による急激な末梢神経炎がみられたら早期にステロイド投与を開始することが重要である.

参考文献

1) 石井則久, 他: MBデルマ 127: 59, 2007
2) Abraham S, et al: Int J Lepr Other Mycobact Dis 66: 131, 1998
3) Scollard DM, et al: Clin Microbiol Rev 19: 338, 2006
4) Roche PW, et al: Int J Lepr Other Mycobact Dis 65: 450, 1997
5) Sundarrao PS, et al: Lepr Rev 77: 25, 2006
6) 山本晃三, 他: 臨皮 62: 1012, 2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?