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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科64巻4号

2010年04月発行

文献概要

症例報告

ワシントンDCで刺傷し,帰国後発症したライム病の1例

著者: 森下綾子1 谷口裕子1 大滝倫子1 川端寛樹2

所属機関: 1九段坂病院皮膚科 2国立感染症研究所細菌第一部4室

ページ範囲:P.343 - P.346

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要約 56歳,女性.ワシントンDC在住.左上腕に虫刺様皮疹が出現した.その後,同部位の発赤・疼痛と頭痛が出現し,帰国後に当科を受診した.初診時,左上腕伸側に径4cmの硬結を伴う紅斑局面,中央に紫紅色の紫斑と径2mmの水疱を2個認め,異所性ヘルペスおよび二次感染を疑い,抗生剤の点滴,内服を行った.その後,紅斑局面の外側に径8×7cmの環状紅斑が生じ,検査で血清中の抗Borrelia抗体はELISA法で陽性,リコンビナント抗原を用いたウエスタンブロット法でIgM陽性,IgGボーダーラインの結果を得て,ライム病と診断した.塩酸ミノサイクリン200mg/日内服を1週間行い,色素沈着のみとなった.その後,渡米して現地の医師を受診し,塩酸ドキシサイクリン200mg/日を6週間,1か月後さらに3週間内服し,以後再発は認めていない.自験例のように,北米ではワシントンDC近郊などの住宅地でもライム病の発症が少なくなく,また北米のBorrelia burgdorferiは毒性が強いといわれており,注意が必要である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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