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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科64巻5号

2010年04月発行

特集 最近のトピックス2010 Clinical Dermatology 2010

1. 最近話題の皮膚疾患

深い潰瘍を形成する新たな非結核性抗酸菌感染症―Mycobacterium shinshuense感染症

著者: 石井則久1 中永和枝1 笹野正明2 加藤陽一3

所属機関: 1国立感染症研究所ハンセン病研究センター 2岡崎市民病院臨床検査科 3岡崎市民病院皮膚科

ページ範囲:P.8 - P.12

文献概要

要約 Mycobacterium(M.) shinshuense感染症は深い潰瘍を臨床的特徴とする抗酸菌感染症である.細菌学的にはブルーリ潰瘍の原因菌であるM. ulceransとの異同が検討されている.脂質毒素であるマイコラクトンを産生し,この毒素が潰瘍形成に関与している可能性がある.検査では32℃,2~8週間程度で抗酸菌培地で発育する.DDH法ではM. marinumと同じスポットが陽性となる.DDH検査とPCR検査で菌の同定を行い,確認にはシークエンスを行う.治療は手術と多剤の抗菌剤の治療を行うが,手術は正常部を含め十分切除する.本邦では2009年9月までに14例の報告があるが,さらに症例が蓄積されつつある.なお,海外では中国での感染が1例報告されている.

参考文献

1) 石井則久:皮膚抗酸菌症テキスト, 金原出版, p115, 2008
2) 御子柴甫, 他:日皮会誌92: 557, 1982
3) 鹿住祐子, 他:結核79: 437, 2004
4) 今田英明, 他:整形外科59: 1440, 2008
5) 鈴木智子, 他:皮膚病診療30: 145, 2008
6) Funakoshi T, et al: Clin Exp Dermatol34: 3333, 2009
7) Nakanaga K, et al: J Clin Microbiol 45: 3840, 2007
8) 中永和枝, 他:日ハンセン病会誌76: 245, 2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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