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特集 最近のトピックス2010 Clinical Dermatology 2010 3. 新しい検査法と診断法
融合遺伝子の発現と隆起性皮膚線維肉腫の診断
著者: 中西元1
所属機関: 1滋賀医科大学皮膚科
ページ範囲:P.82 - P.85
文献購入ページに移動要約 近年,遺伝子解析技術の進歩に伴い,軟部腫瘍に染色体転座が報告され,これらの転座による腫瘍特異的な融合遺伝子の存在が明らかにされてきた.現在,臨床的に,それらの腫瘍特異的な融合遺伝子の発現解析が分子病理診断法として利用されている.今後は,腫瘍特異的な融合遺伝子産物によって生じた増殖シグナルを阻害して治療する,いわゆる分子標的治療薬を用いた軟部腫瘍の治療も考えられている.隆起性皮膚線維肉腫および隆起性皮膚線維肉腫の若年型と考えられている巨細胞線維芽細胞腫において,17番染色体上のI型コラーゲンと22番染色体上の血小板由来増殖因子との融合によるCOL1A1 -PDGFB 遺伝子の発現が報告されている.ここではその検査の概要や具体的な手順を説明し,その方法の有用な点や問題点について概説する.
参考文献
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