文献詳細
特集 最近のトピックス2010 Clinical Dermatology 2010
4. 皮膚疾患治療のポイント
文献概要
要約 これまで本邦では,眼瞼痙攣,片側顔面痙攣,痙性斜頸などを適応症として使用されてきたボトックス®が「65歳未満の成人における眉間の表情皺」を適応として,新たに「ボトックスビスタ®注用50単位」として発売された.皺眉筋,鼻根筋の収縮により生じる眉間の縦皺の改善を目的に,左右の皺眉筋に2か所ずつと鼻根筋に1か所の5か所に合計10~20単位のボトックスビスタ®を注入するもので,3~4か月間効果が持続する.美容目的での医薬品の適応症追加は画期的と言えるが,その背景には,10年ほど前から本邦では医師の個人輸入によりボトックス®が美容目的で使用されていた状況があり,日本人での効果,安全性が全く確認されていないままに多用されていた問題の解決につながるとの行政の判断もあった.しかし,承認以降も必ずしも個人輸入による承認外の製品の使用が皆無になったわけではない.いっそうの適正使用を啓発する必要が残っている.
参考文献
1) 川島 眞:日本美容皮膚科学会誌14: 1, 2004
2) Carruthers JD, Carruthers JA: J Dermatol Surg Oncol18: 17, 1992
3) Harii K, Kawashima M: Aesthetic Plast Surg32: 724, 2008
4) Kawashima M, Harii K: Int J Dermatol48: 268, 2009
5) 古山登隆, 林 圭子:MB Derma158: 87, 2009
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