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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科64巻6号

2010年05月発行

症例報告

初診時にStevens-Johnson症候群が疑われたヘルペス関連多形紅斑

著者: 井上桐子1 青田典子1 平原和久1 狩野葉子1 塩原哲夫1

所属機関: 1杏林大学附属病院皮膚科学教室

ページ範囲:P.366 - P.369

文献概要

要約 16歳,男性.全身の多形紅斑,口腔・陰部の紅斑・びらん,高熱を主訴に受診した.14歳より口唇ヘルペス出現後に多形紅斑が出現し,抗ウイルス薬,ステロイド薬の短期間の内服を繰り返していた.初診時,重症の粘膜疹に加え軀幹に非典型的なtarget lesionが多発混在し,バルトレックス®の薬剤添加リンパ球刺激試験が陽性に近いstimulation index値を示したことから,薬剤性Stevens-Johnson症候群の可能性を考えた.しかし,薬剤の中止と補液のみで軽快した.その後,口唇ヘルペス後に多形紅斑の再発を認め,ヘルペス関連多形紅斑(HAEM)と診断し,バルトレックス®による再発抑制療法を開始した.開始後,再発が減少し,症状も軽症化した.過去のHAEM例に比べ重症化した原因として,ステロイドの不規則投与が薬剤に対する一過性の感作を誘発した可能性を考えた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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