臨床皮膚科64巻6号

2010年05月発行

症例報告

尋常性痤瘡治療目的に使用したスピロノラクトンによる播種状紅斑丘疹型薬疹の1例

著者： 喜多川千恵¹ 池野史典² 佐野栄紀¹

所属機関： ¹高知大学医学部皮膚科学講座 ²ふみの皮フ科

ページ範囲：P.370 - P.372

文献概要

要約　29歳，女性．尋常性痤瘡に対するホルモン療法目的にスピロノラクトン150mg/日の内服を開始した．内服開始10日目に腹部より紅斑，丘疹が出現し，全身に拡大した．パッチテストが陽性であり，スピロノラクトンによる播種状紅斑丘疹型薬疹と診断した．スピロノラクトンによる薬疹は稀であるが，尋常性痤瘡に対し使用する場合は，通常使用より多くの用量が必要であり，薬疹の発現に十分注意すべきである．また，その治療適応に関しても慎重であるべきと考えた．

参考文献

1) 渡辺晋一: Visual Dermatology 5: 116, 2006

2) Goodfellow A, et al: Br J Dermatol 111: 209, 1984

3) Shaw JC: J Am Acad Dermatol 43: 498, 2000

4) Sato K, et al: Aesth Plast Surg 30: 1, 2006

5) 佐藤克二郎, 吉村浩太郎: MB Derma 100: 42, 2005

6) 福田英三: 薬疹情報 第13版, 医療法人福田皮ふ科クリニック, p176, 2009

7) Gupta AK, et al: Dermatology 189: 402, 1994

8) 林　伸和, 他: 日皮会誌 118: 1893, 2008