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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科64巻6号

2010年05月発行

文献概要

症例報告

ヘルペス様小水疱を伴い,乳癌と大腸癌を合併した皮膚筋炎

著者: 小南賢吉郎1 大塚正樹1 中西元1 阪上陽子1 大野貴司1 岩月啓氏1 浦岡俊夫2 小笠原豊3

所属機関: 1岡山大学医学部皮膚科 2岡山大学医学部消化器内科 3岡山大学医学部腫瘍胸部外科

ページ範囲:P.385 - P.388

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要約 54歳,女性.2007年5月下旬から易疲労感があり,そう痒を伴う皮疹が出現したため,6月中旬当科受診した.Gottron徴候,ヘリオトロープ疹,scratch dermatitis様紅斑,爪囲紅斑,顔面の脂漏性湿疹様紅斑以外に,胸部,背部,上肢に米粒大の中心陥凹のあるヘルペス様小水疱が多発していた.血清中の筋酵素上昇を認めた.皮膚生検で表皮下の浮腫,表皮下水疱と基底層の液状変性があり,筋生検では筋線維に炎症細胞浸潤が認められた.蛍光抗体直接法と血清学的診断から自己免疫性水疱症を否定した.乳癌(T2N2aM0 stage IIIA),大腸癌〔M,ly0,v0,LM(-),VM(-),stage 0〕の重複癌を合併していた.プレドニゾロン投与で皮膚筋炎の急性期を抑え,大腸癌,次いで乳癌を切除したあとに皮膚筋炎の病勢は改善した.しかし,乳癌の転移で死亡した.

参考文献

1) 夏目 妙, 他: 西日皮膚 52: 231, 1990
2) 中川真人, 他: 皮の科 4: 355, 2005
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4) 橋本 学, 他: 皮膚臨床 47: 4, 2005
5) Fujimomto M, et al: Clin Exp Dermatol 27: 718, 2002
6) McCollough ML, Cockerell CJ: Am J Dermatopathol 20: 2, 1998

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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