臨床皮膚科64巻6号

2010年05月発行

症例報告

悪性増殖性外毛根鞘性囊腫の1例

著者： 水谷浩美¹ 宮崎愛¹ 峠岡理沙¹ 益田浩司¹ 竹中秀也¹ 加藤則人¹ 岸本三郎²

所属機関： ¹京都府立医科大学皮膚科学教室 ²大阪鉄道病院

ページ範囲：P.407 - P.410

文献概要

要約　81歳，女性．約10年前より後頭部に小豆大の結節を認め，約1年前より徐々に増大し，易出血性となった．初診時，後頭部に10×7×4cmの広茎性で潰瘍を伴う腫瘤を認めた．病理組織学的に表皮から筋層にまで及ぶ腫瘍塊を認め，腫瘍は被膜を有していたが，一部で周囲脂肪織に浸潤していた．腫瘍は大小さまざまな囊腫様構造からなり，囊腫壁は外毛根鞘性角化を示し，細胞異型や核分裂像を認め，悪性増殖性外毛根鞘性囊腫と診断した．当教室の経験例や既存の報告から，悪性増殖性外毛根鞘性囊腫は転移の頻度が高く，悪性度の高い腫瘍と考えられる．

参考文献

1) Headington JT: Am J Pathol 85: 480, 1976

2) 森岡貞雄: 毛包腫瘍アトラス, 医歯薬出版, p58, 1989

3) 渡辺晋一: Skin Cancer 10: 52, 1995

4) 落合豊子, 高山篤子: Skin Cancer 10: 40, 1995

5) 田村敦志, 他: 日皮会誌 109: 1439, 1999

6) 玉置邦彦: 最新皮膚科学大系, 中山書店, p138, 2004

7) 太田　孝, 他: Skin Cancer 5: 319, 1990

8) 松井矢寿恵, 他: 皮膚臨床 45: 632, 2003

9) 増澤真実子, 他: 皮病診療 29: 265, 2007

10) 姫田十二, 他: 形成外科 50: 1461, 2007

11) Jay Y: Am J Clin Pathol 122: 566, 2004

12) 大原國章: Skin Cancer 10: 73, 1995