icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科64巻7号

2010年06月発行

文献概要

症例報告

TNF阻害薬投与中に出現した血管炎の1例

著者: 新石健二1 折戸秀光1 長谷川稔1 濱口儒人1 鈴木康倫2 川野充弘2 藤本学1 竹原和彦1

所属機関: 1金沢大学医学部皮膚科学 2金沢大学医学部リウマチ内科

ページ範囲:P.454 - P.458

文献購入ページに移動
要約 17歳,女性.14歳頃よりRaynaud現象と皮膚硬化が出現し,全身性強皮症と診断された.ステロイド内服治療を開始し,皮膚硬化は抑制されていたが,17歳時に手指関節痛が出現した.骨びらん所見を認め,リウマトイド因子陽性だったため,関節リウマチの合併と診断し,タクロリムスが追加された.しかしながら関節痛は軽快せず,可溶性TNF受容体製剤(エタネルセプト)による治療が開始され,関節痛は消失した.しかし,投与開始2か月後に下腿に紫斑が出現し,腹痛を伴ったため,精査と加療のために入院した.紫斑の生検では,真皮小血管に白血球破砕性血管炎がみられたものの,IgAの沈着は認めなかった.エタネルセプトの中止とステロイド増量投与にて,紫斑は軽快,腹痛症状は消失した.経過より,TNF阻害薬が血管炎を誘発した可能性を考えた.

参考文献

1) Moreland LW, et al: N Engl J Med337: 141, 1997
2) Weinblatt ME, et al: N Engl J Med340: 253, 1999
3) Bongartz T, et al: JAMA295: 2275, 2006
4) Mohan N, et al: J Rheumatol31: 1955, 2004
5) Marcoux BS, et al: Joint Bone Spine73: 710, 2006
6) Saulsbury FT: Medicine78: 395, 1999
7) Turesson C, Matteson EL: Curr Opin Rheumatol21: 35, 2009
8) Distler JHW, et al: Arthritis Rheum58: 2228, 2008
9) Galaria NA, et al: J Rheumatol27: 2041, 2000

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?