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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科64巻7号

2010年06月発行

文献概要

症例報告

2回の生検により診断確定に至ったDuhring疱疹状皮膚炎の1例

著者: 松本悠子1 吉田和恵1 久保亮治1 石井健1 天谷雅行1 石河晃1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.464 - P.467

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要約 18歳,女性.初診2か月前から顔面,耳介に水疱が出現した.背部,膝に掻痒を伴う不整形の紅斑が多発し,一部で小水疱が紅斑の辺縁に配列していた.初回生検では表皮直下の裂隙,真皮乳頭部に好中球浸潤を認めるのみで,蛍光抗体直接法では陽性所見は得られなかった.臨床,病理所見よりDuhring疱疹状皮膚炎(DH)を強く疑い,再生検を施行した.蛍光抗体直接法で真皮乳頭部にIgAの顆粒状沈着を認め,確定診断した.DDS75mg/日内服が著効した.DHの診断には,蛍光抗体直接法所見が必須である.水疱や紅斑などの病変部そのものを生検すると蛍光抗体直接法が偽陰性になることが欧米でも多数例で指摘されている.1回の生検で陽性所見が得られなくても,臨床・病理組織像からDHを疑う場合,無疹部を含む部位での再生検を行うべきである.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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