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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科64巻7号

2010年06月発行

文献概要

症例報告

植皮部に生じたtraumatic neuromaの1例

著者: 株本武範1 田中英一郎1 丸山涼子1 伊藤雅章1

所属機関: 1新潟大学皮膚科学教室

ページ範囲:P.497 - P.499

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要約 60歳,男性.1991年(42歳時)左上腕の悪性線維性組織球腫(MFH)に対し筋膜を含めての拡大切除と分層植皮術を施行された.その後10年間再発,転移なく2001年で経過観察は終了した.さらに8年後,植皮部皮下に結節を触知し,受診した.MFHの局所再発を疑い切除したところ,病理組織学的に,線維性基質と末梢神経線維束の増生を認め,traumatic neuromaと診断した.Traumatic neuromaは反応性の末梢神経の増殖だが,手術などの外傷部位に発生するため,自験例のように臨床的に切除した腫瘍の局所再発と鑑別し難い.皮膚科領域においてもtraumatic neuromaをつくらないために,神経切断を要する手術の際は,皮切よりも可能な限り中枢側で神経を切断するなどの注意を払う必要がある.

参考文献

1) Weiss SW, Goldbulm JR: Enzinger and Weiss's Soft Tissue Tumors, 5th ed, Mosby, Inc., an affiliate of Elesvier, Inc., Philadelphia, p827, 2008
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9) Foltán R, et al: Med Hypotheses71: 572, 2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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