icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科64巻7号

2010年06月発行

文献概要

症例報告

サルコイドーシスにみられたSister Mary Joseph's noduleの1例

著者: 坂本真紀1 後藤和重1 栗脇一三2 瀬戸山博子3 伊藤清隆3

所属機関: 1熊本労災病院皮膚科 2熊本労災病院病理科 3熊本労災病院内科

ページ範囲:P.505 - P.508

文献購入ページに移動
要約 61歳,女性,サルコイドーシスで内科通院中.約3か月前より15歳時の下腹部正中の開腹手術痕の一部に痛痒さを伴う紅色結節が出現し,サルコイドーシスの瘢痕浸潤を疑われた.生検により腺癌であり,PET検査で胆囊癌が認められた.その後の化学療法中に臍部の紅色結節を指摘され,生検で同様の腺癌であり,Sister Mary Joseph's noduleと診断された.化学療法開始後,2か所の皮膚病変の自覚症状は改善中である.胆囊癌は遠隔転移をきたしやすいといわれるが,皮膚転移の報告は稀である.特に臍部への転移は,本邦では自験例が8例目である.また,免疫組織学的にはD2-40染色陽性の管腔構造内に腺癌細胞が認められたことから,転移様式としてはリンパ行性転移が考えられた.サルコイドーシス患者で瘢痕浸潤様変化を認めた場合,転移性皮膚癌も念頭に置く必要性があると考えた.

参考文献

1) 田代征記, 他:日外会誌88: 1350, 1987
2) 田中雅祐, 他:臨皮30: 893, 1976
3) 清水育子, 宮内東光:皮膚科紀要78: 234, 1983
4) Yamakawa T, et al: Am J Gastroenterol78: 649, 1983
5) 南光弘子, 他:厚生病年報12: 207, 1985
6) 西川 真, 他:日臨外46: 1036, 1985
7) 洞ノ口佳充, 他:千葉医誌64: 280, 1988
8) 水川帰一郎, 他:米子医誌41: 257, 1990
9) 村上義昭, 他:日消外会誌24: 900, 1991
10) 喜安佳人, 他:日消外会誌24: 1830, 1991
11) 小林寛久, 他:神奈川医会誌18: 348, 1991
12) 木下誠司, 他:日皮会誌102: 623, 1992
13) 服部尚子, 他:皮膚臨床37: 449, 1995
14) 橋本貴至, 他:日消誌92: 101, 1995
15) 西尾秀樹, 他:胆と膵16: 973, 1995
16) 加藤真理子, 他:皮膚臨床40: 2115, 1998
17) 村上 孝, 他:皮膚臨床42: 224, 2000
18) 高畑ゆみ子, 他:臨皮60: 175, 2006
19) Brownstein MH, Helwig EB: Arch Dermatol107: 80, 1973
20) Duperrat B, Gabrielle B: Cancer of the Skin2: 1383, 1976
21) 久本和夫, 他:臨皮41: 1097, 1987
22) Yamaguchi M, et al: Sarcoidosis8: 51, 1991

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?