臨床皮膚科64巻7号

2010年06月発行

症例報告

Pre-DICを併発しpolymerase chain reaction(PCR)法で診断したツツガムシ病の1例

著者： 森志朋¹ 櫻井英一¹ 赤坂俊英¹ 坂田明子² 安藤秀二² 岸本寿男³

所属機関： ¹岩手医科大学皮膚科学教室 ²国立感染症研究所ウイルス第一部 ³岡山県環境保健センター

ページ範囲：P.512 - P.516

文献概要

要約　76歳，女性．初診の約2週間前から発熱，悪寒が出現した．近医で感冒の診断で点滴治療を受けたが，症状は改善せず，皮疹も出現してきたため，当院救急外来を受診した．血液検査上，肝機能障害と炎症反応があり，消化器肝臓内科に入院し，スルペラゾン^®の投与を開始した．皮疹につき当科に紹介された．右肘窩に黒色痂皮を付す紅斑と，顔面を含む全身にも紅斑を散見した．血液検査では，DIC score６点であり，自験例をpre-DIC(DIC準備状態)を併発したツツガムシ病と考えた．FOY^®に加えて，ミノサイクリン^®の点滴を開始したところ，皮疹，全身症状とも速やかに改善した．発症から約1か月，血清抗体価の有意な上昇はなかったが，polymerase chain reaction(PCR)法によりOrientia tsutsugamushi Karp型と確定した．

参考文献

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2) 杉田　学, 他：日胸疾会誌35: 1368, 1997

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4) Schattner A,et al: Am J Med Sci303: 392, 1992

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